昨日からRAS、脳幹網様体賦活系の外界情報選別機能について調べている。日本語で読める記事が見つかったので共有しておく。
まず、脳幹網様体賦活系そのものについて解説されているのが上記のサイト。
1949年に、人間の覚醒状態、つまり起きている状態を維持している脳内の神経機構について、神経科学者のMoruzziとMagounが提唱した概念が上行性網様体賦活系(ascending reticular activating system; ARAS)なのだそうだ。
なお、「網様体賦活系」に含まれない脳幹網様体のニューロンの投射パターンは部位によって異なるが、上行性に限らず下行性、局所性のものなど複雑で、機能的にも多様である。モノアミン作動性ニューロンの一部は下行性に脊髄まで投射しており、運動系の促通、感覚のゲーティング、自律神経系の調節など、覚醒制御以外の多様な機能に関与している。
つまり、外界から入ってくる情報を選別する役割については、脳幹網様体賦活系というよりも、いくらか違った神経機構が担っていると考えた方が良さそうだ。
情報の選別を担うのは、この視床ゲート機構と呼ばれるものらしい。
視覚情報、聴覚情報など様々な刺激を使った実験で、「注意」が向けられた情報を取り入れ、それ以外の情報を抑制することが明らかになっている。
この人間の「注意」システムについて解説のしたのが、次に引用する記事だ。
研究チームは、視床網様核には感覚情報を遮断する抑制型ニューロンがあり、これが前頭前皮質からの命令で興奮することで、視床に入力された感覚情報のうち不必要なものを除去していたと指摘しています。(中略) つまり、人の脳は「見えているもの・聞こえたものから注意すべき情報だけを強化する」のではなく、「見えているもの・聞こえたものから注意しなくていい不要な情報を捨てる」というメカニズムで注意を実現しているというわけです。
ここでいう脳の前頭前皮質は前頭前野とも呼ばれ、認知機能を果たす部分であり、この働きによって、視床に入力された情報を選別している。しかも、必要な情報を取り入れているというよりも余計な情報を削ぎ落としていると言った方が正しいようだ。
人間の「注意」メカニズムについては様々な研究が進んでいるようなので、1冊くらいは成書を読んでみよう。